月日が過ぎるのは早いもので、ウェルテルの悩み以来、三ヶ月ぶりのTOKYO FMホールでの朗読劇。あれからもう3ヶ月すぎたのかと怖くなる。
今日の朗読劇は『いつか、眠りにつく日』という、ケータイ小説が原作らしかった。タイトルからして人が死にそうで、というか、事前発表の配役表でもう人が死んでいて、暗めの泣かせる雰囲気のお話なのかな、なんて思っていた。
実際観劇したところ、たしかに泣かせる系の作品ではあったけれど、それ以上にぬくもりに溢れたお話で、演者の方々の熱演も相まって朗読劇は良いものやね〜!と幸せな気持ちで帰ることができた。ありがたい。
あらすじ:修学旅行に参加していた女子高生・森野蛍はバスでの移動中、高速道路で事故に遭ってしまう。蛍が目覚めると、立会人(?)を名乗る謎の黒い男が現れ、蛍がもう死んでいることと、あの世に行く前、四十九日のあいだに現世に残してきた未練を解消しなければならないことを告げる。かくして蛍は未練をめぐる冒険に出るのだった。
今回の土屋さんの役どころは蛍の祖母と事故で亡くなった少年涼太の二役。土屋さんの様々な演技のバリエーションを浴びることができた。
朗読劇がはじまり、あらすじ(↑)の範囲を抜けるとすぐ祖母の出番。いや~おばあちゃん演技良かった。一声聴いただけでおばあちゃん…!と心が躍るような、やさしく包み込むような、安心感のある声。いっぱいおしゃべりしたい声だ。
次に登場したのが涼太君。土屋さんの男児演技、かわいすぎ。めちゃくちゃかわいいし、お声に涼太君の心情が映し出されているのが強く伝わってくるのがいいなと思えた。まだ他の人と距離感のある声、打ち解けたあとの元気な声、状況を理解したときの冷静な声。そんな場面に応じたお声のニュアンスの違いがよかった。
とりわけ、主演の林さんの優しく語りかけるようなおねえさん演技と、土屋さんの素直で元気な男児演技の相性が非常に良くて、掛け合いを聴いているとずっと笑顔。
また、演技でいうと山下大輝さんの演技プランが昼の部と夜の部でガラリと変わっていたのがものすごかった。昼の部は落ち着いた大人の演技で、夜の部は打って変わって喉仏生えてきたくらいの若者の演技。キャラクターの年齢が指定されていないので、昼の部と夜の部で演技をガラッと変えてもいいですよね?と事前に提案されたということらしい。
この演技プランの変更で他の演者との掛け合いの雰囲気も変わり、作品全体の印象も違ってみえた。朗読劇が生のお芝居で、演者と演者の掛け合いで変わっていくということを改めて実感できた気がする。とても面白い試みだった。
お話で惹かれたのは涼太くんのくだり。涼太くんの未練がお母さんでもお父さんでも保育園の先生にまつわるものでなく、うさぎ小屋のうさぎどうしてるかなだったところに強く揺さぶられた。涼太くんは普段から、お父さんやお母さんと真っ直ぐに向き合っていることが伝わってきて愛おしい。冷静になるとそんな子が若くして亡くなってるの悲しいな。
終演後のトーク。暖かくて愉快で、笑いに溢れていた。原作者の方が浜松出身なので、同じく浜松出身の林さんと山下さんにオファーが来たのだとか。そこから静岡繋がりでさわやかトークに。さわやかってめちゃくちゃ並ぶらしいけど、自分が行った時はそこまで待った記憶がなく、なんでだろうということを考えている。平日だったからかな。
土屋さんの(影響されやすいので)移動中に原作を読んだらそういう気持ちになってしまい、午前4時にお母さんに「ありがとう。大好き」とラインを送ると「どうしたの?」と返信された話がとても良かった。急にありがとうって伝えたら心配されたりするけど、それでも伝えたいことは普段から伝えていくべきなんだろうな。
朗読劇の楽しさたっぷりの体験だった。声優さんのお芝居を聴くことが好きなので、最大限それを受け取れる朗読劇はやっぱり大好きなのかも。
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