久しぶりに銀座博品館劇場へ。土屋さんの出演する音楽朗読劇が目当て。この日は寒の戻りでめっさ寒かったのだけれど、雪は雨に変わっていたおかげで電車も止まらずたどり着くことができた。
あらすじ↓
ルイ14世の暴政下のフランス。かつての三銃士は全員剣を折ってしまっていたが、ダルタニアンは変わらず王への忠誠を誓い、軍の総督として日々奮闘していた。しかし、暴政は続き、絶え間ない重税に民は苦しみに苛まれ、ダルタニアンは理想と現実のあいだで摩耗していく。
そんな折、かつての三銃士のひとり、アラミスはバスティーユ監獄に赴いていた。王宮を揺るがす可能性を秘めた「仮面の男」と接触するために。
あらすじ↑
面白かった。三銃士ってあれだろ?ポケモンに出てきた聖剣士だろ?ぐらいの知識しかなかったけどしっかり楽しめた。
シリアスなお話ではあるけれど、常に緊迫した状態で物語が進行するわけでなく、なごやかな空気に包まれるシーンもあったり、しっかりとしたコメディシーンも繰り広げられる。幅が広いけど、作品全体の世界観は壊れず、絶妙なバランスだった。
仲間と出会い、苦難を乗り越え、未来へ進んでいく、王道のドエンタメだった。演者の方々の熱演は素晴らしくて、終盤の演説シーンは心が揺さぶられて今でも身体がざわざわしている。
それに、個人的にはコメディシーンがメタ要素チックなおとぼけなもので声優に丸投げするものでなく、本の段階からしっかりと練り上げて作られていたものだったのが好印象だった。
土屋さんの演技が本当に素晴らしかった。りおちゃん……。声に揺さぶられて泣きそうになっちゃった。思い出しても泣けそうだ。
物語のキーとなる仮面の男、フィリップを全編通して演じるのだけど、監獄にいた頃の諦念に包まれていた様子からはじまり、最後には王。として立派な演説を果たす。全ての声に説得力があって、とても良かった。フィリップの声色に滲む隠しきれない上品さ、気高さはどこから生まれているんだろう。とにかくカッコよくて、、好きになってしまう。
今回の演技のなかで一番好きなのは地下の世界に長く長く閉じ込められていたフィリップが脱獄を果たし、ようやく地上にでてきたときの「生きているんだ!」という叫び。その声の少し震えを帯びた力強さに生の喜びを感じ、そんなときにも気品が損なわれていない様子も相まって泣きそうになった。
他にも兼ね役で女性の役を演じている。とりわけ重要な役としてはダルタニアンの妻で理解者、コンスタンスがいる。彼女の落ち着いた大人な演技もとても素晴らしかったのだけど、とりわけ彼女の「う・そ」という言葉が良かった。好き。愛を感じる。好き……。
土屋さんの演じる男性の声って声の高さ低さじゃなくて(街のおばあさんの方がフィリップよりもずっと声が低いし)、声色?声質?の変え方がすごい男性っぽさを産んでいる気がしている。無理した声の低さではないからこそ(もちろん低い声も出せる方であるので)、ますます表現を工夫したりできるのかしら…と勝手に思っている。
土屋さんの声って演じてるキャラの背景が感じられるような声をしていて、どういう声?ってことを考えている。
声への情報のタグ付けというか、匂わせ方というか。感情の帯びさせかた(滲ませ方)が土屋さんはすごい自然で、聴いていてぐいっとそのキャラクターに引き込まれるし、そもそも声がとても気持ちよくて、しみじみとすごい!と圧倒されている気がする。
自分は声について、結局感じたものの話しかできないので(人によって出力なされ方は違うんだろうなとも思うのですが)、演技の組み立て方、声の出力の仕方の話をしてくれるSMGラジオは本当に素晴らしいアニラジです。
コメントを残す